七面大明神縁起
建治三年(西暦1277年)九月のことと伝えられています。
日蓮聖人が身延のご草庵に住まわれ、日々信者たちに説法をされていました。そのとき、一人の妙齢の婦人が熱心にこのお話を聴聞していました。
「このあたりでは見かけない方であるが、いったい誰であろうか?」
信者たちはいぶかしく思いました。日蓮聖人は信者たちの不審に思っている気持ちに気づかれ、その婦人に言いました。
「そなたの姿を見て、皆が不思議に思っているので、その本体を見せてあげなさい」
婦人は笑みをたたえて「お水を少し賜りとう存じます」と答えました。日蓮聖人が傍らの水差しの水を一滴、その婦人に落としました。すると今まで美しい姿をしていた婦人がたちまち龍の姿を現し、
「私は七面山に住む七面大明神です。末法の世に法華経を護持し、行ずる者を守護し、その苦しみを除き心の安らぎと満足を与えます」
と言い終えるや、七面山の方に向かって空高く姿を消していきました。
皆様が七面大明神のご威光に触れ、素晴らしい人生を送れますよう 合掌